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2008年1月

人間のかたち

Man05 「人間のかたち」

102×65.0cm 1996年制作

Mixed Mediums on Shaped Cardbord

近隣都市で、凶悪で残虐な事件が起こるなどということは、普段の生活の中であまり想像しないのではないだろうか。

福岡県久留米市の元看護婦たちによる「連続保険金殺人事件」を報道で知ったときには、出てくる地名があまりにも身近だったので、とても実際におきた事件だとは思えなかった。

『黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人―』(森 功 著)のノンフィクションを読みながら、実際に起きた事件が陰惨なものであるにも拘らず、そこに行きつくまでの過程が、あまりにも現実離れしていて、しかも滑稽ですらあることに、人間を形作る物について恐怖してしまった。

人間界を離れて山奥にひっそりと暮らす、そんな仙人にでもならない限り、人と関わらずには生きてはいけない。

自分は大丈夫?ご近所さんは大丈夫?…そんなことを考えながら生活しなくてはならないとしたら…とてもではないが精神がもたないな、と思う。『黒い看護婦』の解説で、精神科医は、主犯の女性を「サイコパス」だと書いている。

一生の中で個人が関われる人間の数はどれくらいなのかは解らないけれど、ノンフィクションにしろファンタジーにしろ、どんなジャンルの小説であっても、多くの本を読み、様々な「人間のかたち」を知っておくことは、自分や家族を守る、大切な手がかりになるのではないだろうか。

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫 (も-33-1)) Book 黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫 (も-33-1))

著者:森 功
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人間のかたち

Man09 「人間のかたち」

102×65.0cm 1996年制作

Mixed Mediums on Shaped Cardbord

数ヶ月に一度、強烈な頭痛に襲われる。

頭に針が刺さったまま取れないのだ。

鎮痛薬を服薬するが効果はなく、頭を持ち上げれば眩暈と吐き気に襲われ、身動きがとれなくなる。じっと横になり、頭痛が去るのを忍耐強く待つしかない。

脳外科の受診も効果はなく、器質的な問題もない。いわゆる片頭痛とよばれるものだ。

頭痛の前には必ず「予感」というものがある。偏頭痛を持病とする人間なら、症状の現れ方に多少の差はあっても、大抵はこの「予感」を体験しているだろう。そして、その痛みの辛さも同じように「ああ、あれは辛い」と、自身の痛みを重ね合わせて感じることが出来るだろう。

頭痛の間は、痛みのために熟睡することも出来ない。ただじっと横になったまま、色んなことを考える。例えば「痛み」についてなんかだ。

「痛み」の感じ方は個々によって違う。医者に痛みを訴えてみたところで、いま自分が味わっている痛みを感じ取ってもらえることは、なかなか出来ない。

手を握り合ったり、お互いに『電脳ヘルメット』みたいなモノを被るだけで、こちらの痛みが相手にそのまま伝わるような、優れた能力や道具はないものだろうかと、頭痛のたびに思わずにはいられないのだが「そんなものがあったら医者のなり手がなくなるだろう」と、友人の失笑をかってしまった。

他人になかなか理解されにくいものは、肉体の痛みだけではない。心の痛みも同様である。

信じられないことだが、生まれながらにして「心や身体の痛み」というものを理解する能力が欠如している人間が存在するという。『精神病質者―サイコパス』と呼ばれる者たちだ。

厄介な持病の頭痛は、長くても5日程で、何もなかったように去っていく。体力が著しく落ちていて怠さだけが残る体で、本箱をあさる。

10年前に目を通したきりの埃だらけの本を手に取り、今泉が描きたかった「人間のかたち」の本質は何だったのだろう…などについて考えてみる。

本の名前は『診断名―サイコパス』 

精神病質チェックリストを開発した心理学博士、ロバート・D・ヘア著の心理ノンフィクション。

診断名サイコパス 診断名サイコパス

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Elephant Accident 99

Ele04 「Elephant Accident」

188×127cm 1999年制作

初対面の人を見るとき、何処を見るだろう。

人によって、見る場所が違うのは確かだ。

「やはり、顔ですかね」と言う人が、圧倒的に多いのではないかと思うけれど、顔を構成しているパーツも色々。

瞳の印象が第一だと思う人もいれば、鼻に目がいって仕方がないという人もいるだろう。

眉毛の形やほくろの位置…そういうものが気になって仕方ない人もいるだろうし、ぼんやりとした雰囲気だけしか捉えずに、好感や不快感を抱く人もいるだろう。

人やモノに対する印象というのは、個人の主観が全てなので、正確に言葉で第三者に伝えるのは難しい。

今泉の描く生物たちは、意図的にデフォルメされた作品が多いと思われがちだが、実のところ、画家本人には、モチーフの全てがカンバスに描かれた通りに見えていたのである。

…ということで、今泉が見ていた「象」は、とーっても変わった形姿の生き物だったようだ。

妹尾河童氏が、彼の主観で覗いたヨーロッパやインド。人が覗いたものを見るというのは、実に楽しいものですね。

愛する友人の本箱より拝借の一冊。これまた、彼女を形作っている何かを覗いたようで、他人の本箱というのは、実に実に楽しいですね。

Book 河童が覗いたヨーロッパ (新潮文庫)

著者:妹尾 河童
販売元:新潮社
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The Tree―庭の木

Tree04 The Tree-庭の木」

F6号 2004年制作

始めは直径20センチ、高さ2メートル程の幼木だった。

風や雨…容赦ない自然の力に鍛えられ、じっくりじっくり、その地に根を伸ばし、今では大きな立ち木となった。

木の名は「アメリカフウ(アメリカもみじ)」

春に新芽を出し、夏には大きな葉を枝いっぱいに広げ、庭に大きな木陰を作る。

秋に見事な紅葉で人目を引いて、冬には丸裸になって、渡り鳥の休憩所となる。

木は美しい。彼らは大地と繋がり、大地は地球において、森羅万象の命の源となる。

画家、今泉憲治が急逝してから、もうじき三年。

大地に返った感想を聞いてみたいのだが、残念ながら肉体という器がなくなった今、人として対話をすることは、未来永劫、叶えられない願いとなった。

今泉が好きだったピアニスト、舘野泉さんは病気を見事に克服し、『左手のピアニスト』として、今もなお多くの人々に、音楽を通じて感動を与え続けている。

アメリカフウを眺めながら、館野泉さんの繊細で、透き通るような美しいピアノの音色を思い出し、失ってしまったものと、生き続けるものなどについて、ちょっとセンチに考えてみたりする。

冬は思考が後ろ向きになって、どうもいけない。早く春が来ますように。

フィンランド・ピアノ名曲集  樅の木op.75-5(シベリウス)  おすすめの一曲

フィンランド・ピアノ名曲集

アーティスト:舘野泉

フィンランド・ピアノ名曲集

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Elephant Accident 85

Ele02 「ELEPHANT ACCIDENT 85]

145.5×122.5cm 1985年制作

福岡市美術館コレクション

文化、色々…。子供時代、漫画は隠れて読むものだった。

漫画は勉強の敵だと、両親が強固な教育方針を持ち、家庭から徹底的に漫画を排除していたからである。

書架に並ぶ『世界文学全集』『日本文学全集』『百科事典』の重量だけが自慢?と言いたくなるような本の数々。

「さあ、好きなだけ読みなさい」と、大変ご親切な限りであった。

小学生の頃、初めて知った漫画の面白さは、手塚治虫氏の『ブラックジャック』だった。

夢中で読んだのは、はるき悦巳氏の『じゃりン子チエ』

漫画の入手先は、その当時の英語の家庭教師だった先生の本箱である。

勉強の終わりに一冊拝借し、翌週に返して、また新たに拝借。いうに及ばず、先生が大好きだった。

実兄は、この頃の『ブラックジャック』の感動が尾を引いて、大人になって医者になった。

隠れて読むものだった漫画が、今や日本を代表する「文化」と呼ばれるものになった。

なんともはや…不思議なもんです。

あずま きよひこ『よつばと!』英語版。

小学生でも読め(笑え)ます。もちろん、脳が退化気味の私目でも…ふふふ。

Yotsuba&!: Volume 3 Yotsuba&!: Volume 3

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幸せの仔豚

Pigkobuta 「仔豚―The Happy Pig」

35.7×21.0×12.0cm 1998年制作

Mixed Mediums Painting

奈多海岸(福岡市東区)。数少ない鳴き砂の海岸として知られています。

その奈多海岸からの帰り道、養豚場のトラックと前後して信号待ちとなりました。

荷台の上にぎゅう詰めにされた豚たちが、なんだかとても可愛かったので、そのままトラックの後を追って、養豚場までお邪魔しました。

仔豚が生まれたばかりの養豚場では、母豚が穏やかに育児に専念中。

「絶対に豚を驚かさない」というお約束で、フラッシュを使わずに沢山の仔豚の写真を撮らせてもらいました。

20年近く前の話。現在も養豚場があるのかどうか…奈多海岸には今でも行くけれど、あの養豚場がどの辺にあったのか、もう覚えていません。

養豚場の仔豚たちは、こうして今泉憲治の作品となりました。永遠に仔豚のままで…

ほしよりこ著『僕とポーク』を読んでいたら、遠い昔を思い出しました。

今はもういない、画家今泉憲治との遠い、遠い昔の思い出。

僕とポーク Book 僕とポーク

著者:ほしよりこ
販売元:マガジンハウス
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Elephant Accident85-The Rear

Sibiele02 「Elephant Accident-The Rear」

227.3×181.3cm Releif Painting

福岡市美術館コレクション

精神活動から生み出されるもの、文化。

芸術であれ、文学であれ、学問であれ…如何にして守り、後世に残していくか。

その役目を担うものの一つとして、芸術には美術館が存在する。

そして、文学には『文学館』が存在するのである。

毎日新聞東京本社の編集委員である重里徹也氏が、全国各地の文学館の中から、特に魅力的だと感じた15の個人文学館を訪れ、毎日新聞の「日曜くらぶ」で1年半に渡り連載していた記事が、『文学館の旅』として一冊の本になり出版された。

<…改めていうまでもないことですが、このような施設にとって、最も大切なのは「人」です。研究も、情報も、もちろん、愛着も、「人」に蓄積されていくのです>

あとがきで綴られた言葉がとても印象的で、文学館が果たす役割や今後の在り方について、考えるところの大きい本だった。

いつか、その地を訪れてみたいと思う文学館の情報が得られたことや、今まで手に取ることのなかった作家の本を、是非読んでみたいと思うきっかけになったことが、何よりの収穫だった。

文学館への旅 Book 文学館への旅

著者:重里 徹也
販売元:毎日新聞社
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素描―クマ

Sobyobear01 「クマ」

The ZOOシリーズのための素描

本川達雄氏の『ゾウの時間 ネズミの時間』について、再び。

生物が生まれて土に帰るまでの時間について考えるとき、必ず頭に浮かぶ本。

何度もトライしては挫折し(数式が難しくて私の脳みそには難解なのでした…)、それでも未だにトライして、絶対に手放せない、お気に入りの大切な本。

『ゾウの時間 ネズミの時間』…実はなんと、子供の本棚にも、一冊!

こちらは、難解な数式も苦にならずに読める絵本なのです。

年齢を問わず、充分に納得できる内容で、あべ弘士さんの絵も、実に良いです。

これも、絶対に手放せない、お気に入りの大切な絵本。

絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集) Book 絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集)

著者:本川 達雄,あべ 弘士
販売元:福音館書店
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迎春―初日の出

Sky 「太陽」

太陽築炉工業株式会社コレクション

(天井画)

あけまして おめでとう ございます

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