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2008年3月

素描―ペンギン

Sobyopengin03 「ペンギン」

The ZOOシリーズのための素描

こちらの乱視が進行したのか、ペンギンが分身の術を使ったのか。

「これは確かに一体のペンギンである」という、視覚から得られる安心感がないと、なんだか見ていて落ち着かない。

鳥は、翼を広げ大空を羽ばたくもの、という固定した考え。

人間は、二足歩行で大地を踏みしめるもの、という固定した考え。

なんらかの定義は、他人にそのモノについての説明を求められた時、とても役に立つものだなと思う。

そのお陰で、自分自身の存在についても、ちょっとした安心感をもっていられるような気がしたりもする。

(この安心感というものについて、上手く説明するのはひどく難しいのだけれど、例えば「人間」も「動物」であるのだが、「理性的」という種差を挙げることによって、「人間は理性を持った動物である」という定義ができ、自分が所属することを許される、他の動物とは違う社会があるのだということを知ることができ、それによって、ほんの少しばかり安堵するということを言いたいわけです…)

自分の居場所、自分が所属すべき社会…それらを模索し、苦悩する時代というのは、誰にでもあるのではないかと思う。

三島由紀夫は『鏡子の家』のなかで、四人の青年たちの生の軌跡を、朝鮮戦争後の荒廃した時代相の中に浮き彫りにしている。

重里徹也著『文学館への旅』の中に取り挙げられていたので、興味を惹かれて読んだ本。(筆致に慣れるまでに時間が掛かり、前半は脳トレのようで…後半は一気読み、という本でした)

(うーん、しかし…。『人鳥』と呼ばれるペンギンさん。このネーミング、とっても迷惑なんではなかろうか…)

Book 鏡子の家 (新潮文庫)

著者:三島 由紀夫
販売元:新潮社
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Elephant Accident ―おふく―

Eleouku 「Elephant Accident ―おふく―」

個人蔵 2003年制作

福岡市動物園 おふく

―  命日 ―

今泉憲治の急逝から三年。

彼と彼の残した作品たちの時間だけが、あの日のまま静止している。

生きて呼吸するものは、時間の波を乗り越えながら、少しずつ形を変えていく。

今日の私は、明日の私ではない。

目には見えないけれど、小さな小さな変化を遂げる。

少しずつ少しずつ、今泉の生きた時間に近付いていく。

そうして、いつか、今泉の生きた時間を越えたとき、そこには何が見えるのだろう。

― 合掌 ―

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camel-ラクダ

Zoocamel 「camel-ラクダ」

79.0×64.5㎝ 1986年制作

Bond Work ボンド・ワーク

マスクとメガネで防備を固め、黄砂の中を目的地に向かって前進。

黄砂の向こうには春があるのだと、自分を励ましながら、喘ぐように前進。

春色のラクダを眺めながら、諦めずに前進。

いくつになっても、苦手な季節は変わらないまま。

ラクダみたいに、鼻の穴が自由に開閉できると、ラクなんだけどなぁ。

フタコブラクダ

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smiley bear-クマ

Zoobear 「smiley bear-クマ」

79.0×64.5㎝ 1986年制作

Bond Work ボンド・ワーク

クマの穴篭りもそろそろ終わり。

常に、何かを欲する「ヒト」は、季節など関係無しに、一年中活動を継続。

一つ手に入れると、またその次が欲しくなり…

お金に権力に快楽に…。

人間の欲望には際限がなく…どろどろどろ~

…という「人間像」を描いたらピカイチの桐野夏生さん

読後感がこんなに胸糞悪い作家は、なかなか居ないかも…

桐野氏の中には、一体いくつの人格が棲んでいるのだろうと想像したりして、独りで勝手に恐怖する、春の始まりなのでした。

ニホンツキノワグマ

(自然の境界線が壊れ始め、人間との共存がOUT!になりつつあるクマさんです)

OUT 上  講談社文庫 き 32-3 Book OUT 上 講談社文庫 き 32-3

著者:桐野 夏生
販売元:講談社
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