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2008年7月

どすこい大相撲 一番勝負

Sumoubond04 『どすこい大相撲 一番勝負』

79.0×64.5cm 1989年制作

九州日東精工株式会社コレクション

大相撲 名古屋場所。13日目にして優勝を決めた白鵬。

6場所の中で、唯一、優勝していなかった名古屋場所。

「必ず、この場所で…!」 

横綱白鵬の内に秘めた闘志は、相当なものであったに違いない。

『此処一番の強さ』を実現するのは、並大抵のことではない。

地道な努力の継続による準備と、規律ある行動によって、目標を一つずつクリアし、レベルアップを計るには、かなりの意志が必要だろう。

芸術は、センスと才能で、簡単に成し遂げられるように思われがちだが(実際にそういう画家もいるのだが) 彼らも実際には、数えきれないほどのデッサンによって目と技術を磨かねばならないし、日本画や彫刻や版画であれば、習得しなければならない知識や技術が沢山あるのである。

それらが下地にあって、そこから先が、センスと才能…そして『運』を招きよせる意志の出番なのである。

さて、天才少年と呼ばれ、学校に何の意義も見出せず不登校だった中学生の主人公の少年が、人間界にやってきた魔物と一緒に、様々な困難に立ち向かいながら、強い絆で結ばれた最強のパートナーへと成長していく姿を描いた少年漫画『金色のガッシュ!!』が、とうとう最終巻となってしまいました。

少年誌連載漫画にありがちな、編集者側と作者との作品への思い入れと方向性の違いによるトラブルから、後半、作品が雑になり、内容も戦闘シーン重視型へと変わってしまい、少しばかりガッカリしかけたけれど、全巻を通して読み終えると、やはりなかなか良く描けていたのではないかと思います。

漫画漬けの子供らは、小遣いを漫画につぎ込むのだけれど…この漫画だけは、全巻を母が揃えてしまったのでありました…。

「君らは若い!地道な努力の継続による準備と、規律ある行動によって、目標を一つずつクリアし、レベルアップを計ることのできる意志を養うのだー!」

…という、うるさい小言つきで、ですがね(反省)

金色のガッシュ!! 33 (33) (少年サンデーコミックス)

著者:雷句 誠

金色のガッシュ!! 33 (33) (少年サンデーコミックス)

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Mother and Child

Etching01 『Mother and Child』

Color Etching 1983年制作

「初めは一匹のつもりやったんだぞ」

と、父が言った。

ある日、実家へ帰省すると、小さな仔猫が一匹、父の寝室に住み着いていた。

あれから数年。猫は毎年増えていき、現在では、世間で言うところの『猫屋敷』へと変わりつつある、片田舎の実家である。

職場の駐車場で、職員の昼食の残飯を何度か与えているうちに、父の姿を駐車場付近で見つけては、「にゃぁーん」と擦り寄ってくるようになった仔猫。

まだ暖かいうちは何も感じなかったが、段々と冬が近付き気温が下がってくると、父は仔猫のねぐらの心配をするようになってきた。

そこで、不安を抱えて仔猫を想うより、自宅に連れ帰ったほうが、自分自身の精神的な負担が少ないと、父は判断したようだ。

動物病院で処置を受け、人間の住処へ連れて行かれた仔猫は、やはり野良猫。なかなか人には懐かず、現在も父以外の人間には心を許してはいない。

これも父性愛というのだろうか。

猫にとって、これは幸なのか不幸なのか…。

少女時代に、一人芝居ができるほどに読み込んだ、大島弓子著の『綿の国星』の擬人化された猫たちの世界は、心を暖かい毛布で包んでくれた。

その大島弓子さんも、随分と色んな経験をされ、今ではりっぱな『猫屋敷』の主となっていらっしゃるようだ。

大島弓子さんの猫たちとの暮らしを描いたエッセイ漫画が『手塚治虫文化賞短編賞』を受賞し、映画化されて今秋全国一斉公開とのことである。

母性愛。父性愛。人間のエゴイズム。猫のあるべき姿。野良猫と家猫…

今秋は、色々と考え事がつきずに過ごせそうかな。

グーグーだって猫である

著者:大島 弓子

グーグーだって猫である

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心景

Geidai 『心 景』

13.6×200.0㎝(三部作) 1979年制作

東京藝術大学卒業制作

Egg Tempera,Acrylic on Canvas

卒業間近、卒業制作の出来栄えがどうしても気に入らず、結局、作品を提出しなかったため、当然のごとく留年決定となってしまった今泉。

翌年、何とか『心景』を描き上げ、無事に卒業。心機一転、新たな絵画の世界を求めて、ニューヨークへと旅立ったという、曰く付の卒業制作『心景』である。

さて、今泉が急逝してからというもの、何故か『新宗教』関係の方々が、我が家へ頻繁に電話や訪問をしてくれるようになった。

無下にすることも出来ず、とりあえず、一通りお話を伺ったりする。どの人からも皆同じようなオーラが出ていて、そのオーラから

「あなたを苦しみから救ってあげたい」 

という深い慈愛が、辺り一面に漂っている。

そして皆、自分の『新宗教』を心から信じているので、どの宗教の人も「世界にこれ以上素晴らしいものはない!」という、絶対的な自信を持って熱弁をふるう。

さて、情報というものは、多方面から得なくてはならないと、私は常日頃から思っている人間だ(…単に、大変疑り深い、あるいは捻くれ者(笑)というだけのことだが)

『新宗教』についても、信仰している本人たちではなく、何処にも属さない、しかし冷静にそれらについて(個人的な感情抜きで)概観することの出来る人とも話してみなくては…と、考えていた。

そこへ友人が大変面白い本を見つけてきてくれた。日本の10大新宗教について、客観的に述べてあり、実に分り易く、我が家へ訪れる人たちの心の支えとなっている『新宗教』の発祥から現在に至るまでと、その展望について、ある程度正確に知ることが出来た。

だからと言って、何かが変わったわけでも、変わるわけでもない。『新宗教』を信じる多くの人たちの『心景』を見たような気がするだけだ。

十人十色、それぞれの心の中にある情景は、彼ら自身のものであって誰のものでもない。何を信じようと、個人の自由なのだ。

1979年の今泉の心の情景は、極楽なのだろうか地獄なのだろうか。不思議な重さを持った作品だ。

今の私の心の情景を描くと、一体どんな色になるだろう…

日本の10大新宗教 (幻冬舎新書 し 5-1) Book 日本の10大新宗教 (幻冬舎新書 し 5-1)

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Kissing

Face02 『Kissing』

24×20"(inches) 1983年制作

Color Etching

息子、13歳。中学一年生。

さて、いよいよ『難しいお年頃』に突入である。

台所でネギをトントン、小鍋をグツグツさせていたら、息子がにゅっと背後に現れた。

手には一枚のプリントを持っている。そのプリントを私に手渡し、まるで夕飯のメニューを尋ねるかのように、サラリと言った。

「ねえ、ママは40年近く生きてきて、この問題が生活の中で必要なことが一度でもいいからあった?」

プリントは数学の問題集の一枚であった。

『次の式の値を求めよ。(1)log26+log212-2log23』 と、チンプンカンプンな設問が書いてある。

「…ううん、一度も」 と答えながら、ログってなんだったけかな?対数か?などと、心の中で冷や汗を流す。

「やっぱりねー」 息子はそれだけ言うと、スーッといなくなってしまった。

え!?それで終わりなの?

「こんなもの勉強しても人生の役に立たないじゃないか!」とか、

「何故こんな必要のない面倒くさいものを勉強しなくちゃならないんだ!」とか、

「今の僕にはもっと必要なものがあるに違いない!」とか…

人生の壮大な哲学の小路の入り口で、地団太踏んだりしなくていいの?

13歳の迷路に入り込んだら 「さあ、母の腕の見せどころよ!」とばかりに張り切っていたので、何だか拍子抜けをしてしまった。

『母の見せ場』を奪われて、大変つまらなかったので、自分から息子に擦り寄っていくことにした。

「数学って、大変だと思うけどさぁ…云々」 と言いかけると、

息子は顔も上げずに問題を解きながら 「数学は楽しいから、別に大変じゃないよ」と一言。

ちぇっ、つまんないでやんの…と思いながら台所に引き返していると、背後から満面に笑みを浮かべながら、息子が話しかけてきた。

「ママは対数の計算が要らない世界で暮らしてきたんやねー。僕は、まだ何になるか決めてないから、一応なんでもやっとくつもり。だって、まだこれから色んな道が選べるもんねー

…という訳で、子供に止めを刺されて、人生について思い悩むのは母の方になってしまった。

過ぎ去った40年近くの人生で、沢山の分かれ道に出会ってきた。その都度、選択をして前進してきた(ときには後退もしてきたけれど…)。その別れ道のどれかに『対数の計算が必要な世界』ってのも、あったのかな…。

若いって、いいな。

息子は、まだまだ『名無し』だ。彼は人生の分岐点で、自分にどんな名前を付けていくのだろう。

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