タコ―octopus
F150 1987年制作
Mixed Mediums on Plaster Panel
音と色彩と言葉の話。
息子13歳。只今のピアノレッスンの課題曲は、ドビュッシーの『アラベスク1番』
『ピアノの詩人』と呼ばれるショパンに対し、『ピアノの画家』と呼ばれるドビュッシーは、音楽分野においての印象主義の創始者であり完成者とも言われている。
さて、息子の『アラベスク1番』の、なんと豪快で雑で御粗末でイライラする弾きっぷりであることか…。
右手さんと左手さんが、転んで、跳ねて、滑って、濁って…
「ピアノに何か恨みでも?」と聞きたくなるほどガンガン鍵盤を叩く日々。
頭を抱えられた先生(美人で優しい息子のお気に入りの先生)から出された先週の宿題は…
「ドビュッシーがどういう人で、どんな時代に生きた人か、この曲が生まれた時代背景を知ると、この曲に接するときの意識が変わると思うよ。ちょっと、ドビュッシーについて調べてみてね」
という、テクニック以前の問題をクリアしなくては弾けませんよー、というものだった。
全く、おっしゃるとおりです。
絵画における印象派運動が盛んであった時期のパリで、詩人や画家と親交を結び、その影響によって、『印象派の絵画』に通ずる『印象派の音楽』を完成させたドビュッシー。
『アラベスク』はその初期の作品で、彼の表現する印象的な音は、印象的で美しい色彩と結びついているのだ。
詩人の谷川俊太郎氏が、フェルメールの作品に影響を受けて『灰についての私見』を詠ったように…
音と色彩と言葉は、相互作用のもと、ひとつの芸術となっているのだ。
音を聴き、色彩のイメージが広がり、言葉が紡がれ…
言葉から音色が生まれ、音色から色彩が生まれ…
考えていると、何だかとても嬉しくなった。こんなに嬉しいことはない、と思った。
息子の『アラベスク1番』が、どんな絵に仕上がり、どんな詩になるのか。
道はまだまだ険しいけれど、ピアノを通して、そういうことを少しずつ理解できるようになれば、きっといつか、父親が求め続けたもの、求めても答えを出し切れなかったもの…
それらを理解できる日が、父親の遺した作品たちの声を感じることのできる日が来るのかもしれない。
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コメント
素敵な「アラベスク」になっていくと思いますよ、こんな時代、道は険しいとおもいますが何かを掴み取り、乗り越えていく力を持っているはずです。 小さい頃から、とても繊細でそして客観的に周りを見る事ができるお子さんでしたからね・・・ びっくりするくらい大人に見えるときがありましたもの。(^-^; 今年も みなさんにとってよい一年でありますように。
投稿: ビディの母 | 2009年1月 4日 (日) 18時25分
あけましておめでとうございます。
今年の年賀の画像を拝見して暖かな気持ちになりました。
土器を見るとき、おいら似たような気持ちになるといったら変でしょうか。
古代人たちが一生懸命生きていた証が、命を引き継いで生きてきた自分たちの生きる根拠の様に思えるのです。
ps 久々にブログアップしました~く(´▽`;*)
投稿: 竹林たぬき | 2009年1月 4日 (日) 20時36分
ビディママ、復活されたようで…一安心です。
お互いに健康な一年でありたいですね。
愚息のピアノが続いているのは…はっきり言って、先生が美人で優しいから、の一言でしょう 凸(`Д´メ) 母には厳しいくせに、頭に来るやつです。
親としては、手術で動きが悪くなった右手指のリハビリと、頭の体操のためだと思っているので、ずっと続けてほしいと思っているんですけれどね。
)
(先生がオバちゃんでブサイク!?とかだったら、とっくにやめてるかもね
幼稚園でも、ビディママとか、美人の先生にしか懐かなかったし~┐(´д`)┌ヤレヤレ
投稿: 芸術を愛するブタ | 2009年1月 5日 (月) 16時22分
たぬき様…
あけましておめでとうございます。
新年早々、じ~んとくるコメントに、ちと涙しました。
今年も一年、頑張って『命の芽』の子どもらに、水をやって育ててみるデス。
可愛い賀状に仕上がりましたね~
しかも松の内に間に合ったとは、大変よろしいであります。
まさに「一年の計は…」ということで、今年はさい先よろしいようで。
お互いに心地良い一年にしたいですね(*^ー゚)bグッジョブ!!
投稿: 芸術を愛するブタ | 2009年1月 5日 (月) 16時34分