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The Tree-木霊

Tree13 The Tree-木霊」

個人蔵 F6号 2004年制作

「木に入り込みすぎたら(感情移入しすぎたら)こんなになっちゃったよー」

と、今泉が匙を投げた木の絵シリーズの作品『木霊(こだま)』

わたしの一番のお気に入りで、名付け親を任され「わーい、わーい」と大喜び。

イタリア旅行の時に出会った、晩年のミケランジェロの未完の彫刻の前で、心が吸い取られていくような、それでいて、無二の愛について諭されるような、そんな気持ちになったときとのことを思い出し『木霊』と命名。

今泉の好きだったミケランジェロ。

ミケランジェロは生涯で4つの『ピエタ』を制作している(うち3つは未完のままです)

イタリアで最初に出会ったのは、若き日のミケランジェロが完成させた『サン・ピエトロのピエタ』

ピンと張りつめた空気の中のピエタは、その繊細さゆえに人を傷つけてしまうこともある、硝子のようなもろさと美しさが同居していて、神が舞い降りたかと思わせるような完成度の高さで、それを目にした人々の心を虜にしていた。(心を持たないものを、ただ鑑賞しただけで涙が出るという経験をしたのは、これが初めてでした)

次に出会ったのは、晩年、視力をほとんど失っていたとわれるミケランジェロの遺作ともなった、未完の『ロンダニーニのピエタ』

行く人の足を止めずにはいられない張りつめた空気を感じさせる美しさはなく、ただそこには、重く悲哀を含んだミケランジェロの影が見えるような気がしただけだった。

けれどそこには、心が吸い取られていくような、それでいて、無二の愛について諭されるような何かがあると感じたのを今でも鮮明に覚えている。

そして、この『ロンダニーニのピエタ』への回想から、作品タイトルを『木霊』としたのだった。

『木霊』はすぐに、あるご夫妻の目に止まり、完成してから数ヶ月のうちに我が家のアトリエを出て行ってしまった。

ずいぶん昔に、大切な息子さんを亡くされた経験をお持ちのご夫妻だと、今泉が静かに言っていたのを思い出す。

いつかは消えてしまう人間の、本当の幸せって、何なのだろうな…

聖母像の到来

著者:若桑 みどり

聖母像の到来

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