Mother and Child
Color Etching 1983年制作
「初めは一匹のつもりやったんだぞ」
と、父が言った。
ある日、実家へ帰省すると、小さな仔猫が一匹、父の寝室に住み着いていた。
あれから数年。猫は毎年増えていき、現在では、世間で言うところの『猫屋敷』へと変わりつつある、片田舎の実家である。
職場の駐車場で、職員の昼食の残飯を何度か与えているうちに、父の姿を駐車場付近で見つけては、「にゃぁーん」と擦り寄ってくるようになった仔猫。
まだ暖かいうちは何も感じなかったが、段々と冬が近付き気温が下がってくると、父は仔猫のねぐらの心配をするようになってきた。
そこで、不安を抱えて仔猫を想うより、自宅に連れ帰ったほうが、自分自身の精神的な負担が少ないと、父は判断したようだ。
動物病院で処置を受け、人間の住処へ連れて行かれた仔猫は、やはり野良猫。なかなか人には懐かず、現在も父以外の人間には心を許してはいない。
これも父性愛というのだろうか。
猫にとって、これは幸なのか不幸なのか…。
少女時代に、一人芝居ができるほどに読み込んだ、大島弓子著の『綿の国星』の擬人化された猫たちの世界は、心を暖かい毛布で包んでくれた。
その大島弓子さんも、随分と色んな経験をされ、今ではりっぱな『猫屋敷』の主となっていらっしゃるようだ。
大島弓子さんの猫たちとの暮らしを描いたエッセイ漫画が『手塚治虫文化賞短編賞』を受賞し、映画化されて今秋全国一斉公開とのことである。
母性愛。父性愛。人間のエゴイズム。猫のあるべき姿。野良猫と家猫…
今秋は、色々と考え事がつきずに過ごせそうかな。
| グーグーだって猫である 著者:大島 弓子 | |
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